数日前、私は車を運転中、後ろから追突され、数万円の修理代がかかりました。しかし相手は、私の車の修理代を支払うことができないとか、相手の車の修理代まで支払えと言ってきました。修理代数万円の話ですのでたいした交通事故ではないのですが納得がいきません。どうすればいいでしょうか?
交通事故で人的・物的損害が生じた場合、過失がある加害者は、その損害を賠償する必要があります(民法709条・過失責任の原則)。そして、加害者が、被害者に対し、具体的にいくらの賠償をする責任があるのかは、事故の態様などから、「事故発生自体に加害者にどれだけ過失があるのか」「被害者にも一部落ち度があるのではないか」という点から「過失割合」を決めて、その割合に応じて賠償額が算出されます。これは、怪我が起きた、いわゆる「人身事故」でも、車が傷ついた、いわゆる「物損事故」であったとしても同じことです。
しかし、現実には、事故態様自体に争いがあるなどして、過失割合についてなかなか合意ができないことは少なくありません。
その場合は、当事者間で話し合いをしても決まらないわけですから、公平な第三者である裁判所に調停を申立て、調停委員に間に入ってもらい、話し合いを続けるか、もしくは、民事の訴訟を提起して、過失割合について主張立証をして裁判で戦う必要があります。その他、手続きの種類としては、裁判所外での制度(日弁連交通事故相談センター、弁護士会仲裁センター、(財)交通事故紛争処理センター)などもあります。
なお、当然、弁護士に頼まずにご本人で、かかる手続きや制度を利用することはできます。ですが、裁判などでは法律の専門的な事柄が多いですので、弁護士に頼まずにすべて進めるのは、非常に難しい点が多いのも現実です。
ただ、いざ弁護士を頼むとなると、気になるのが弁護士費用についてです。弁護士を頼む場合、「自分が頼んだ弁護士の費用は自分が払う」というのが基本です。それは、交通事故の被害者でも同じです。最終的な裁判の結果次第では、その後に、加害者から弁護士費用分を回収することも可能ですが、いずれにしても、一旦はあなたが準備をしなければなりません。
しかし、あなたが加入している任意保険に「弁護士費用特約」が含まれているのであれば、あなたの加入した保険会社が、弁護士との相談料や、弁護士報酬や訴訟費用などを保険金として、あなたの代わりに弁護士に支払ってくれます。最近の任意保険には、かなりの割合で弁護士費用担保特約が含まれていますので、弁護士に相談若しくは依頼を検討しておられるのであれば、あなたの加入している任意保険の保険内容を一度確認してみてはいかがでしょうか。